順応

最も簡単な1例で説明します。私が最初に認知科学の研究に関わったときに入り口だった問題です。 

     

白い照明光源下で赤いりんごを見ている状況を考えましょう。光源を青い光源に切り替えたとします。しばらくは、りんごが青みががっているかもしれませんが、次第に元の赤いりんごに見えてきます。これは、人間の目の順応機能によるものです。

 

このように、人間には、外部の環境の変化に順応して、望ましい状態に制御していく機能がいたるところに存在しています。心の問題において、順応できる範囲の外部変化であればよいわけですが、それを超えるような異常な外部変化(内部変化もありますが)、耐え難い外部変化が起こったとき、順応(もしくは適応)できずに、ストレスを抱え込み、心の問題、体の問題として現れるわけです。

 

また、環境が望ましくない方向に思考や心をひっぱり続けた結果が、長い時間の間に固定されてしまう場合もあります。

 

例えば、コンピュータ関係者の考え方が機械的になっていくといったことです。テクノストレスからの”うつ”は、様々な方向への順応、逆順応のレベルがある程度異常な状態で起こるものと言えます。アナログ思考の人達がデジタル思考への転換を迫られたとき、異常な順応が求められるので、テクノストレスからの”うつ”となります。

 

このように、”うつ”のストレスの要因だけで、年代的、時代的背景があり、このことのメカニズムを”順応”というキーワードに集約して説明してみました。問題をメカニズムの土俵に投影して見るということです。

 

私は、一例としての順応というキーワードでも、”うつ”の問題を別の分かりやすい土俵に持ち込んで見ることができます。

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