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ビルマ国境の街で −タイ・メソッド訪問報告−

9月13日から17日までの4日間、HRNのスタッフ3名がビルマ国境に接するタイ北東部の都市・メソットを訪れました。
 きっかけは、今年3月、来日中の「ビルマ法律家連盟」(BLC)代表団からの、BLCの司法・人権教育プロジェクトへの協力要請。これを受けてHRNでは、今年5月にプロジェクトチームを立ち上げ、今回の訪問を実現させました。
若手の人権活動家を育成中 〜BLC事務所で学生と懇談
 ビルマ法律家連盟(BLC)はビルマの人権問題に取り組む法律家団体。若い人権活動家を養成しようと、少数民族出身の若者に教育を行っている。BLCで学ぶ学生たちと懇談し、日本のODAの話題に及ぶと「少数民族や貧しいビルマ市民が教育を受けられるような援助こそが欲しい」という切実な意見が繰り返し聞かれた。学生たちからは、国を、民族を変えていくのだという真剣な想いが強く感じられた。
政治犯への悲惨な人権侵害 〜元政治囚による証言
 政治犯に対する身体拘束・拷問の実態を聞き取るため「政治囚支援協会」(AAPP)のスタッフで、元政治囚の2名と懇談した。
 Aさんは、23歳だった1993年、軍政を批判するパンフレットを出版して逮捕されて以来、12年間拘束された。政治犯に弁護人がつくことは許されず、軍服を着た裁判官の開く特別法廷でたくさんの尋問が繰り返されたが、弁解の余地はなかったという。逮捕後は頭に布をかぶせられ、昼夜もわからない生活が続いた。その状態で長時間暴行を受けることもあった。Bさんも、このような暴行を受けた結果、片耳が難聴になったままだ。刑務所内では、衛生状態が悪く病気になりやすい環境に加え、恣意的に男性を女性の名で呼んで屈辱感を与えたり、故郷と離れた刑務所に移して長期間孤独感を味わせたりといった精神的ダメージを与えるという。
 AAPPは、身体・精神的に相当なダメージを受けている政治囚の実態調査や、出獄した元政治囚の支援に取り組んでいる。  
アヘン栽培も日常化 〜少数民族の抑圧と窮状
 ビルマの少数民族パラン族、カレン族の女性団体スタッフとも懇談することができた。彼女らによると、軍事政権は少数民族に強制労働を課し、多額の税金を支払える人のみ、免れることができるという。民家に侵入して食料を奪ったり、女性に性的虐待をするといった非人間的な行為も日常的で、このような被害に遭っても少数民族たちが通報する機関がないのが現状だ。
  また、ビルマ北部の山岳地方では、古くは茶の栽培で暮らしていたが、現在は生活の苦しさからアヘンの原料・ケシの栽培が主となっている。ケシの栽培は本来は違法だが、軍政は税金の徴収と引き換えにこれを容認。そこで働く男性たちはアヘンを常用して依存症になり、収入をアヘンに使って家庭に入れなくなり、女性に暴力を振るうといった悪循環に陥っているという。いずれの団体も現状を国際的にアピールするため、情報提供と女性の教育に努めている。
現地調査を終えて
 今回の滞在では大半をメソットで過ごしたが、帰国前に1時間ほど、国境を越えてビルマの地へ入った。町は意外にも人とモノが豊富で、一見して人権侵害が深刻な街には見えなかった。しかし、メソットでの聞き取りで、私的な会話であっても軍政を批判できないことを知っていたため、その光景も軍政が作り上げた沈黙のように感じられた。
 現在、HRNはビルマの民主化支援に向け、他団体とも共同して政策提言(アドボカシー)に取り組んでおり、10月15日には今回の調査訪問の報告会も行った。HRNは、今後も人権侵害状況の情報を収集し、ビルマの軍事政権による人権侵害に抗議し、ビルマから人権侵害をなくすため、活動を続けていきたいと考えている。