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内閣総理大臣福田康夫殿
中華人民共和国の胡錦涛主席の来日にあたっての要請
私たちは、中華人民共和国の胡錦涛主席の来日に際し、同国政府によるチベットにおける人権侵害行為,並びに,ビルマにおける軍事政権による人権侵害行為及びスーダン・ダルフール地方におけるスーダン政府による人権侵害行為に対する同国政府の対応に対して,深刻な懸念を表明します。
貴殿が首脳会談を通じて、これらいずれも極めて深刻な人権問題について真剣な問題提起をされ、事態の打開のために働きかけを行われるよう、ここに要請いたします。
中国政府は,特に本年3月以降,信教の自由を求めた僧侶を含む多数のチベット系住民に対し、武力による弾圧を行い,現在も多数の僧侶らを拘束し続けています。ダラ
イ・ラマ氏が、独立ではなく高度な自治を求め、一切の暴力的行動やオリンピックに対する実力的な妨害に反対し、事態の平和的解決を求めているのに対し、中国政府は
「ダライ側がオリンピック破壊活動を停止すれば対話の扉は開かれている」として頑なな態度に終始し、現実には対話を行っていません。
平和の祭典であるオリンピック開催にふさわしくない中国政府の対応に国際的批判が集まっているなか、隣国である日本政府が毅然とした態度をとることは極めて重要です。首脳会談においては、チベットの人権問題を議題とし、ダライラマ氏との即時・無条件の対話、3月以降の事態の真相解明および人権侵害の停止を強く働きかけるよう求めます。
また、中国に深く関連する人権問題として、ビルマおよびスーダン・ダルフール地方における人権状況も極めて深刻です。
ビルマでは,軍事政権が,昨年9月に民主化運動を武力により弾圧しました。そして,軍事政権は,現在も1800人を超える僧侶,民主化活動家の身柄を拘束しています。軍事政権は5月10日に民主化勢力を排除した憲法国民投票を強行しようとしていますが、この憲法のプロセスは、アウンサンスーチー氏を総選挙プロセスから排除するなど、人権・民主主義とは到底相いれないものです。
中国は多額の経済援助により軍事政権延命の後ろ盾となっています。ビルマ民主化が極めて重要な岐路にある今、アウンサンスーチー氏ら民主化勢力との対話による民主化プロセスを進める国際社会の声は強まっていますが、中国政府はこの点で何らの働きかけも行っていません。軍事政権に多大な影響力のある中国政府が、ビルマ民主化推進の立場にたつことは極めて重要です。
スーダン・ダルフール地方では,2003年2月以来,政府および政府の支援を受けた軍事組織が,非アラブ系住民に対する攻撃を続けており,少なくとも約20万人が犠牲に
なったと言われており、女性に対する暴力も多発しています。そして,この攻撃の結果,数十万人単位での難民も発生しています。中国政府は,このようなスーダン政府
による人権侵害行為にもかかわらず,経済支援,武器供与を通じてスーダン政府を支えています。
私たちは、以上のような深刻な人権状況について日本政府が議論を回避することは、真の友好関係とはいえないばかりか、世界の人権に逆行する虞があるものと憂慮しま
す。
私たちは,胡錦涛主席の来日にあたり、貴殿が首脳会談の席上、明確に以下の点を要求されるよう求めます。
1 チベットにおける状況に関して人権侵害行為を即時停止し,チベット亡命政府指導者であるダライ・ラマ氏との無条件の即時対話を実現すること、真相究明を自ら行い公表すること、今回の事態に関連 して拘禁された全ての僧侶・市民の氏名・拘束場所を明確にすること、および国連等の独立した調査団・外交関係者、メディアの、チベット自治区・自治州へのアクセスを全面的に認めること
2 ビルマにおける状況に関して
アウンサンスーチー氏を含む民主化勢力との無条件対話による民主化プロセスの実施を即時に行うよう、ビルマ軍事政権に働きかけること
3 スーダン・ダルフール地方における状況に関して
スーダン政府に対する武器供与を停止し,政治的影響力を行使して,スーダン政府が人権侵害行為を停止するように強く働きかけること
2008年4月22日
ヒューマンライツ・ナウ
理事長 阿部浩己
事務局長 伊藤和子
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